山頂で泊る 伯耆富士 大山
山旅人専属ガイドの津森豊です!
今回は伯耆大山の山頂1泊ツアーに行ってきました。令和元年に工事の為に閉鎖していた大山頂上の小屋が2年ぶりに再開しました。それにともない山旅人で大人気のロングセラーコース「山頂に泊る伯耆大山」の募集も再開させて頂く事になりました。リニューアルした頂上小屋は従来どおり広くて使いやすく、トイレもキレイになって快適です。日本海に日が沈む夕暮れ時、満点の星空、神々しい朝日を楽しむベースとして利用します。
現地ガイド:佐伯勇治さん メインガイド:津森豊 添乗:浮田健一
参加者の皆様限定の写真ダウンロードサービスはこちらからどうぞ!
山頂で泊り1日の移ろいを感じながら山の景色を楽しむ贅沢な時間
関西から車で3時間の大山。多くの旅行会社では、日帰りや夜行日帰り、もしくは1泊2日という行程が常識。ハイキングを企画している旅行会社なら、きっと一度は大山を企画した事があるでしょう。それほど人気のある山なのに、山歩きをされる方に大山の印象を聞いてみると「階段が多い」「登りばっかり」「面白くない」「昔みたいに縦走できればいいけどね」「花なんてあるの?」と悪評がいっぱい。関西から日帰りや1泊の行程で、山頂にタッチして帰るだけならそんな回答が返ってきても仕方ありません。大山の地元ガイドとして、多くのお客様を案内してきた私にはその理由はよく理解出来ます。ですが本当の大山は、そんなさみしい山ではありません。山容はもちろん、高山植物、ブナ原生林、歴史…どこをとっても魅力ある山なのです。そうで無ければ全国の皆様に知ってもらえるメジャーな山にはなりません。その魅力を理解して頂くには時間が必要なのです。ひたすら地面を見て山頂を目指し、足早に下山して帰路を急ぐ様な登山ではその素晴らしさを案内する事は出来ません。案内する時間さえ自由にもらえるなら、もっと素晴らしい案内が出来るのに…。常に悔しい思いをしておりました。私が山旅人へ社員として入社した10年前の当時、最初に手掛けたのがこの企画です。これまでの常識はひとまず横へ置き、参加者に喜んで頂けるだろうと思う事をフルコースでプランへ組み「参加者満足度」に徹底的にこだわりました。なんだか、これまでの大山ガイド人生の鬱憤をすべて晴らす様な気分。この企画は大山としては常識外れな2泊3日の行程となりましたが、当時の社内で「とにかくトライしてみよう」と背中を押してもらいました。結果は… 募集開始後すぐに満席、そして追加設定、それもすぐに満席、なんと3便満席でキャンセル待ちも多数という状態になりました。
「お客さんにこの企画の良さを理解してもらえた」
嬉しさのあまりとても興奮した事を今でも鮮明に覚えています。良い季節だけしか企画したくありませんので、それ以上の追加設定は諦め、キャンセル待ちの方々には翌シーズンまで待って頂く事となりました。緊張しながら迎えたツアー当日、地元の仲間達が総力を挙げてサポートしてくれ、理想のツアーが完成。山旅人の大山企画は満足度最高レベルの登山ツアーとなりました。私の考案した大山ツアーが始まってから10年、このツアーの魅力をブログで存分にお伝えします。 津森豊
初日は大山の裾野に広がるブナの森を散策。
花と山菜の観察会を行います。国立公園と地元のルールに基づき、たまにほんのちょこっと山菜をいただきます。
こちらは大山寺エリアにある宿坊山楽荘。
ご主人の豪賢和尚と女将さん、そしてご子息の真心こもったおもてなしで頂く山菜精進料理です。私は山旅人に入社してから独立するまでの10年間、日本全国の山々を巡りましたが未だかつてこちらの山菜料理に勝るお食事には出会ったことがありません。
ほぼ全てのものが手作りで、女将さんが朝から晩まで厨房で仕込みをされています。こだわりは食材から。天然の山菜を扱っていますので、その時々の気候によって生育が変わるため仕入れのタイミングがまちまちで、入ってきた山菜は1日でも長く良い状態で提供できるようにすぐ下処理をする必要があります。従って女将さんには休業日が無く一年中 自然と共存したライフワークを送っておられます。いつもお会いする度に、大山の恵みを受けて生きていく有難さについて語ってくださいます。女将さん曰く、繰り返し足を運んでくださるお客様には、その方のお料理のお好みを考え、山菜一つ一つのアクの残し方も変えさせていただいています。といったこだわり具合。新しい精進料理の開発にも意欲的で毎年季節ごとに新しいお料理の品が加わっています。
翌朝、朝食もしっかりと食べこたえのある精進料理をいただき、準備を整え、大山山頂に向けて出発です。
金門と呼ばれる大山寺を発って最初に大山の山容が見える展望スポットです。
この金門はその昔、大山寺奥の院に参る参拝道で天然の地形でできた門でした。大山寺奥の院には誰でも参拝できるわけではなく、固く厳しく出入りを管理されていたそうです。大山寺が栄華を誇った江戸時代には沢山の寺坊と僧兵を抱え、寺領3,000石を治めていました。当時の様子を偲びながら昔の参道を登っていきます。
今回出会った花々を少しだけご紹介します。
古道を歩き、歴史を偲びながら大山寺奥の院(現在は大神山神社おおがみやまじんじゃ)へお参り。登山の安全祈願を致します。
大山のブナの森の中で私が一番好きな場所。ここにはお寺の歴史で護られ伐採されることなく残されたブナの原生的な森と、ずっと昔から寺社建造物の周りに人の手で植えられた杉。またはその木々から飛んだ種子が自然に育ってブナと共生しています。大山のブナの森は人の歴史のお陰で大切に護られてきたということが目の当たりにできる素晴らしい場所です。
その森を抜けると、大山の北壁を一望。突然現れるそのダイナミックな景色に圧巻です。
この登山ルートの中で一番登山らしいのは元谷から8合目まで。
その標高差500m。ブナ林の景色と6合目から眼下に広がる大展望を楽しみながら、
急がずゆっくり高度を稼いでいきます。
稜線上では、こだわればこんな素敵な写真も撮れるんですよ♪
さあ、いよいよ山頂台地に登ってきました。360°の大展望を楽しめる周回コースで大山の山頂を満喫です!
大山頂上碑でチーズ!
去年新しくなった山頂小屋。中は新しい木の香りがして快適です。
大山ガイド協会の佐伯勇治さんサポートのもと、山頂小屋でのお食事。食べきれないほど食材は準備しています。
夕食のメニューは山陰名産トビウオのつみれのお料理、山菜の天ぷら、そしてお鍋のフルコース。
さあ、夕食後は今回の一番のお目当てである日本海に沈む夕日の鑑賞。陽が落ちて辺りが良い色に染まってきましたよ~。
山頂の木道に腰かけて見る夕日はまさに絶景。島根半島の東の端になる美保関から西の端の日御碕まで、弓ヶ浜、中海、宍道湖とその周辺の市街地が夕日に染まります。綺麗だな~。
翌朝、朝日の時間を迎えました。この季節はやはり日本海から上がる太陽を見ることが出来ます。
モーニングコーヒーを飲みながら朝の至福の時間を。
そして、朝日を受けた大山の西側にこの時間だけ現れる影大山。これも朝のお楽しみの一つ。
日の出を鑑賞した後、勇治さんが準備してくれた朝食を頂き、帰りの準備を整えたら下山開始です。
朝の心地よい風を受けながら、下りの歩行に十分に注意を払い安全に下山します。
夏山登山道は階段の多いコースですが、歩き方の工夫ひとつで少しでも筋肉に負担をかけず楽に降りましょう。
大山寺エリアに無事下山。宿泊でお世話になった山楽荘にて冷やしキュウリのサプライズ。ご主人の豪賢さんと女将さんのまごころこもったお出迎え。最初から最後まで地元の皆様に沢山のおもてなしをいただき満喫する大山でした。
お客さま8名に対し、スタッフ3名で山頂泊の寝袋や食材に至るまで全てこちらで運搬。皆様は日帰りの装備で大山を楽しんでいただくことができます。山旅人ならではのこだわり企画で自信を持ってお勧めしています。次回は秋の大山山頂一泊。ご興味のある方は是非ご検討ください!津森