ツアーレポート

~長谷川豊ガイドのレポートをご覧ください。~

揖保川を見下ろす岩稜と、木漏れ日の森。二つの表情を楽しむ名低山

揖保川と里山を一望する、鶴嘴山の岩尾根からの大展望

兵庫県たつの市、揖保川沿いに聳える鶴嘴山(つるはしやま)。標高は約260m、山頂標識では263mの低山ですが、気持ちの良い岩尾根歩きが楽しめる名低山です。
揖保川を挟んだ新龍アルプスを歩いたときから気になっていた山へ、下見に行ってきました。前半は開放感あふれる岩稜、後半は爽やかな森の縦走路。短い行程の中に、山歩きの面白さがぎゅっと詰まっています。

コースデータ
距離 約4.5km
登り 約300m
下り 約280m
所要 約4時間
休憩を含み、ゆっくり歩いた場合

駅を降りれば、もう岩尾根が見えている

姫路駅から姫新線に乗り、東觜崎駅で下車。駅を出ると、踏切越しにこれから歩く岩尾根が姿を現します。山の名前は、工具の「ツルハシ」ではなく、鶴の嘴のように尖った山容に由来するともいわれています。目の前にその姿が見えると、自然と期待が高まります。

小さな旅の始まりは、JR東觜崎駅から
線路の先に、これから歩く鶴嘴山の岩尾根

登山口は、やはり神社から。このような里山は、古くから地域の信仰と結びつき、山そのものが大切にされてきた場所も少なくありません。鳥居をくぐり、静かな社へお参りしてから山道へ入ります。

鳥居をくぐり、山へ
地域に守られてきた、古い社

すぐに始まる、揖保川の絶景と岩歩き

歩き始めると、ほどなく視界が開け、揖保川と里山の風景が広がります。まずは天然記念物の屏風岩へ。対岸には新龍アルプス、眼下には姫新線の列車。標高以上の高度感と開放感が味わえます。

揖保川を渡る姫新線。山と川と鉄道が一枚の風景に収まります
天然記念物の屏風岩
安全に楽しめる一枚岩の岩歩き
名物・タイコ岩。私は音を感じられず(笑)

岩尾根は足元が安定した場所が多く、景色を楽しみながら一枚岩の感触を体験できるのも魅力です。とはいえ、雨天時や濡れた岩では滑りやすくなるため、ゆっくり慎重に歩きたいところです。

最高峰を越えると、爽やかな森の稜線へ

タイコ岩からは急登をひと頑張り。途中の展望地にはベンチがあり、美しい里山を眺めながら、ここでゆっくりお茶をしたくなります。山頂標識のある最高峰は263m。最高点そのものは少々殺風景ですが(笑)、ここから山の雰囲気が大きく変わります。

里山を見渡す特等席。ここでお茶したい!
鶴嘴山最高峰・263m

ここからは一転して、木漏れ日の森をたどる穏やかな縦走路。前半の明るい岩稜とは対照的で、同じ山とは思えないほど静かな時間が流れます。

木漏れ日の差す、爽やかな森の道
切り通しを抜けて、麓へ

鴨池と稲荷神社へ。山と里をつなぐ下山路

切り通しや林道を経て、麓の鴨池へ。水面の中央には小さな社があり、静かな里山の風景をつくっています。最後は朱色の鳥居が連なる稲荷神社へ下山。歩き始めから終わりまで、山と地域の暮らしが自然につながるコースでした。

池の中央に小さな社が浮かぶ鴨池
朱色の鳥居が迎える稲荷神社へ下山

山旅人目線で見ると
前半は開放感あふれる岩尾根、後半は爽やかな森林歩き。対極的な二つの表情を一度に楽しめる、満足度の高い縦走コースです。安全に一枚岩の岩歩きを体験できる点も、この山ならではの魅力でした。
初夏の少し汗ばむ爽やかな季節に歩き、下山後は播州名物の「揖保乃糸」を味わう。そんな組み合わせなら、山旅人らしい楽しい一日になりそうです。まだ知られていない名山との出会いを、またひとつ形にできそうな下見となりました。

歩き終えて振り返る鶴嘴山。標高以上の充実感が残る一座でした