
小屋泊でゆったり味わう、日本百名山・苗場山の秋。
山上に広がる高層湿原。無数の池塘と草原が織りなす、苗場山ならではの別世界へ。

東京から上信越国境を越え、新潟県湯沢町へ。小説『雪国』でも知られるこの地で、初日は湯沢高原を訪ね、色づく植物や周囲の山々の眺めを楽しみました。

明日の登山に備え、温泉で疲れを癒やし、地元のおいしい料理を味わいます。心も体も整えて、いよいよ苗場山へ。

秋晴れの絶好の登山日和。かぐらスキー場から歩き始めると、澄んだ青空の下、秋の山が私たちを迎えてくれました。

標高を上げるにつれて、ブナやダケカンバなどの木々が秋色に染まります。落ち葉を踏みしめながら、深まりゆく秋の森歩きを楽しみます。

神楽ヶ峰を越えると、目の前に堂々とした苗場山の山容が広がります。山頂直下の急登を一歩ずつ登り切った先には、思いがけない景色が待っていました。

山頂台地に出ると、大小の池塘(ちとう)が点在する高層湿原が一面に広がり、夕日を映していました。山頂が湿原という、苗場山ならではの絶景です。

黄金色の草原と静かな池塘、遠くに連なる山並み。火山活動で生まれた広い台地と、長い年月をかけて育まれた湿原が、ここにしかない景観をつくり出しています。

夕日が傾くにつれ、光と雲の影が湿原をゆっくりと移ろいます。池塘の水面が空を映し、時が止まったような「天空の楽園」に心を奪われました。

美しい高原に抱かれた苗場山頂ヒュッテで、ゆったりと一夜を過ごします。日が沈んだ後には満天の星空も。山上に泊まるからこそ出会える、特別な時間。

翌朝、木道の先に広がる湿原を歩きます。池塘と草原、空の青さがひとつにつながる光景は、言葉にするのが難しいほど。
素晴らしすぎる苗場山でした。

苗場山の山頂湿原は、ただ美しいだけではありません。冷涼で雪深い気候のもと、枯れた植物が分解されにくく、長い年月をかけて泥炭が積み重なり、高層湿原が育まれてきました。湿原に点在する池塘も、その長い自然の営みを物語っています。
ガイド 鈴木 信雄
添乗員 田中 昭男




